
「もう何日もうんちが出てないけど便秘かな」「毎日出ているけれど、いつも痛そうに泣くのは大丈夫かな」ーーお子さんの排便について、このような不安を感じている保護者の方は少なくないと思います。
子どもの便秘はとても身近なトラブルですが、「何日出なければ便秘」と排便回数だけで判断できるものではありません。毎日排便があっても、便が硬かったり、排便時に苦痛を感じているのであれば、便秘としての対応が必要と考えます。
この記事では、子どもの便秘のポイントやその原因、家庭でできるケア、そして小児科を受診する目安などについて分かりやすくお伝えします。
子どもの便秘とは?「何日出ない」だけでは判断できません
「3日出なければ便秘」「毎日出ているから大丈夫」と便秘に関して日数で考えがちですが、排便の頻度にはかなり個人差があります。便秘を考える場合、便の回数だけでなく、便の硬さや排便時の苦痛などを総合的にみて治療を決めていくことが大切です。
こんな様子があれば便秘の可能性があります
次のような場合には、排便の回数にかかわらず便秘の可能性があります。
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・便が硬くてコロコロしている
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・排便するときに痛がったり、泣いたりする
- ・便意があるのに排便を我慢しようとする
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・お腹が張っている、痛がる
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・下着に便がつく
排便回数が少ない場合はもちろん、毎日出ていても量が少ない、出しにくさや痛みを伴っている場合は注意が必要です。
子どもの便秘の主な原因
子どもの便秘の多くは、腸や肛門そのものに病気があるわけではない「機能性便秘」と呼ばれるものです。
便を我慢すると、便秘が悪化する?
「機能性便秘」の主な原因は、「便が硬くなる→排便時に痛い→痛いから我慢する→さらに便が硬くなる」という悪循環です。
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痛みの体験:水分不足や食事内容などで便が硬くなり、排便時の痛みを経験。
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我慢の習慣:「排便=痛いもの」と学習してしまい、便意を感じたときに便を引っ込めようと我慢する。トイレでも力もうとしない。
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便の蓄積:直腸に便が長くとどまるとますます硬くなり、直腸自体もゴムのように広がって便をためやすくなる。
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悪化:再び排便するときに強い痛みや切れ痔が生じ、痛みからさらに我慢を重ねてしまう。
このような悪循環は、食事内容が大きく変わる時(離乳食)や生活環境の変化(トイレトレーニング、入園)をきっかけに始まることが多いです。
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・離乳食の開始や移行: 母乳・ミルクから離乳食に変わる時期の水分・食物繊維の不足
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・トイレトレーニング:排便を急かされたり、慣れない状況で、トイレでの排便に対する苦手意識がうまれる
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・入園・入学: 集団生活での緊張や、学校・園でトイレに行きにくいと感じてしまう
子どもの便秘でみられる症状
子どものおなかに便がたまっているサインには次のようなものがあります。
- ・お腹の症状:くり返す腹痛、お腹の張り
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・行動のサイン:便意を感じたときにもじもじする、体をこわばらせる(便を引っ込めようとしている動作)
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・全身の症状:哺乳・食欲低下、なんとなく不機嫌
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・便漏れ:硬い便の隙間からやわらかい便がにじみ出てしまうため、本人の意思とは関係なく下着を汚してしまう。下痢と勘違いしてしまうこともあり注意が必要です。
毎日便が出ていても便秘のことがあります
「毎日うんちが出ています」と受診されるご家庭でも、診察すると直腸にカチカチの便が大量にたまっているケースは少なくありません。
たまった便の一部だけが出ている場合や、出しきれずにおなかの違和感が続いている場合、便秘として治療が必要です。子どもたちは自分の便が固いのか、少ないのか分からないことも少なくありません。上記のような症状がみられる場合には、便秘を疑い、ときどき便の硬さ、量を確認してあげてください。
子どもの便秘、家庭でできること
軽度の便秘であれば、家庭での生活習慣、食生活の見直しで改善することもあります。ただし、激しい腹痛をともなう場合には、生活改善だけで解決しようとせず医療機関を早めに受診することをおすすめします。
食事・水分で気をつけたいこと
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・十分な水分補給: 十分な水分補給を心がけましょう。特に起床時や入浴後の水分補給は、腸の運動をよくするきっかけになります。
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・食物繊維を意識する: 野菜、果物、海藻、豆類、芋類など、いろいろな食品から食物繊維をバランスよく取り入れましょう。
トイレの習慣を整える
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・決まった時間にトイレへ:食後などは腸が刺激されて便が出やすいタイミングです、数分程度トイレに座り、おなかに力を入れる習慣を作ってみましょう。
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・足がつく姿勢をつくる:トイレに座った時、地面に足がついてないと上手に力むことができません。足台などを置き、足の裏がしっかりつく姿勢をとると、おなかに力が入りやすくなります。
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・がんばりをほめてあげる:トイレトレーニング中に失敗してしまう事も少なくないと思います、そんな時には「トイレ行きたいと教えてくれたね」「上手にふんばれたね」などできたことをほめてあげてください、トイレを安心できる場所にすることも大切です。
子どもの便秘は小児科を受診したほうがいい?
「便秘くらいで受診してもいいのかな」と迷われる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。子どもの便秘は早めに対処することで治療期間も短く、スムーズに改善しやすくなります。
次のような場合は、遠慮なく小児科へご相談ください。
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・排便時に痛がったり泣いたりする
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・便を我慢する仕草がある
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・食事や生活の工夫を行っても改善しない
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・腹痛やお腹の張りをくり返している
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・下着に便がつくことがある
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・便秘かどうかわからない・不安がある
排便時の痛みをほっておくと、我慢の悪循環がはじまり、どんどん頑固な便秘になっていきます(慢性便秘)。少しでもお困りの事があれば、早めにご相談いただくことをおすすめしています。
早めに受診したほうがよい症状
緊急の受診は必要ないことがおおい便秘ですが、以下のような場合、単なる便秘ではない可能性もあり、早めの医療機関受診をおすすめしています。
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・激しい腹痛がある
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・嘔吐を繰り返している
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・おなかが著しく張っている
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・便に血が混じっている(血便、黒色便)
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・生後まもない時期、綿棒浣腸しても排便しない日が続く
小児科では子どもの便秘をどのように診療する?
小児科での便秘治療は、単に「たまっている便を出す」ことが目的ではありません。「便がたまる原因を見つけて、自然と排便しやすくすることで、便を我慢する悪循環を断ち切ること」ことを目標とします。
一般的におこなわれる診療の流れは以下のとおりです。
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問診:排便の頻度、便の形状、排便時の様子、食事・生活状況、これまでの経過などをうかがいます。
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診察:お腹の張りや音、圧痛の有無を確認します。必要に応じて肛門周囲の状況を確認し、器質的な病気の可能性がないかを確認します。
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治療:たまっている便の除去:直腸に硬い便がある場合は、まず浣腸や内服薬でつまっている便を出します。一度の浣腸でで切らない場合には連日行うこともあります。(便塞栓除去)
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治療:排便習慣の維持:便が固い場合には便を柔らかくする薬、腸の動きがにぶい場合には腸の動きを助ける薬を使用し、痛みのない排便が毎日〜数日おきにに出る状態を維持します。
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経過観察:排便日誌を活用しながら排便状態を定期的に評価し、薬の量を調整していきます。
年齢や便秘の原因によっておすすめの薬は異なります。受診していただくことで、お子さん一人ひとりにあった治療を見つけることができます。排便について不安や気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
便秘の薬や浣腸は「クセになる」?
保護者の方からよくご質問いただくのが、「便秘薬や浣腸を使うと、自分で出せなくなるのでは?」という不安です。
小児の便秘治療で主に使われるお薬(浸透圧性下剤)は、便に水分を含ませてたり、腸の水分吸収を抑えることで、便をやわらかくするタイプのお薬です、使っているとくせになったり、効かなくなっていく薬ではありません。
浣腸に関しても、腸を刺激することで、たまっている便を出す薬ですので、使っていると効かなくなったり、自分で排便することができなくなるわけではありませんが、浣腸自体が子どもたちには負担(痛み、恐怖心)になるため、できれば浣腸を使う回数を減らす方向で、浸透圧性下剤だけでの排便コントロールが理想です。
よくあるご質問(Q&A)
Q1.子どもは何日便が出なかったら便秘ですか?
A.「何日出ないから便秘」という決まった日数はありません。自力で便を出すときに痛みを伴う場合に便秘を考えます。たとえ毎日出ていても、便が硬くて痛がったり、強くいきまないと出なかったりする場合は便秘です。逆に排便回数が少なくても、1回の量が多く、便の硬さにも問題がないのであれば、便秘としての治療を必要としないケースもあります。
Q2.毎日うんちが出ていても便秘になることはありますか?
A.はい、あります。毎日排便があっても、直腸にカチカチの硬い便が残っていて、その隙間から少量の便が出ているだけのケースがあります。また、排便のたびに痛がって泣く場合や、残便感から何度もトイレに行くような場合も、便秘の状態といえます。
Q3.子どもの便秘は小児科を受診してもいいですか?
A.もちろんです。便秘は小児科でよくご相談いただく症状のひとつです。早めに対処することで、慢性化を防ぐことができます。おうちでの対応に不安がある場合や、排便時に痛がる様子がみられる場合は、遠慮なくご相談ください。
Q4.子どもの便秘は食事だけで治りますか?
A.軽度の場合は、水分をしっかりとり、食物繊維の摂取など食生活を工夫することで改善することもあります。一方、すでに直腸に硬い便がつまっている場合には、食事の工夫だけでの改善は困難です。便が硬い状態が続いている場合や、排便時に痛がる場合は、小児科にご相談ください。
Q5.子どもが便を我慢するのはなぜですか?
A.過去に硬い便を出したときに「痛み」を感じていると、排便に対してマイナスなイメージを持ってしまいます。「うんちを出すと痛い」という体験から、痛みを避けるために便意を感じても我慢するようになります。また、環境の変化やトイレトレーニングをきっかけに、便秘がはじまるケースも少なくありません。
まとめ
便秘は、成長の過程で多くのお子さんが経験します。しかし、「たかが便秘」と様子を見てしまうと、痛みの記憶から便を我慢するようになり、慢性化してしまうことがあります。
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便秘は排便回数だけでなく、便の硬さや排便時の様子で判断する
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「痛い→我慢する→さらに硬くなる」の悪循環防ぐことが重要
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家庭でのケアで改善しない場合や、痛がる様子があれば我慢させず小児科へ
お子様が快適に毎日を過ごせるよう、排便のことで少しでも気になることがあれば、いつでもお気軽に小児科へご相談ください。

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