
お子さまの鼻水や鼻づまりが長引いていると、「ただの風邪かしら?」「もしかして花粉症やダニアレルギー?」「副鼻腔炎(蓄膿症)になっているのでは?」と不安に思う保護者の方も少なくないと思います。
特に小さなお子さまは「鼻が詰まって苦しい」「頭が重い」といった症状をうまく言葉で表現できないため、機嫌が悪くなったり、夜何度も目が覚めたりすることが病気に気づくきっかけになることも少なくありません。
下北沢駅から徒歩1分の下北沢小児科・アレルギークリニックでは、小児科およびアレルギー科専門医、小児耳鼻科の視点から、お子さまの全身状態を踏まえた鼻症状の診察・処置を行っています。この記事では、子どもの「アレルギー性鼻炎」と「副鼻腔炎」の症状の違いや見分け方のポイント、治療薬の考え方、ご家庭でできるケアについて詳しくご紹介したいと思います。
結論を先に知りたい方へ 一般的な目安として、水っぽく透明な鼻水・連続するくしゃみ・目のかゆみがあればアレルギー性鼻炎、黄緑色でネバネバした鼻水・10日以上続く症状があれば副鼻腔炎の可能性が考えられます。ただし両者は併発することも多く、正確な診断・治療のためにも症状が長引く場合には、ぜひご相談ください。
1. 子どものアレルギー性鼻炎と副鼻腔炎とは?
鼻水が長引く代表的な原因として「アレルギー性鼻炎」と「副鼻腔炎」が挙げられます。それぞれのメカニズム・特徴について解説します。
アレルギー性鼻炎(通年性・季節性)
ハウスダストやダニ(通年性)、スギやヒノキなどの花粉(季節性)が鼻の粘膜に付着し、免疫反応によってアレルギー症状が引き起こされる状態です。最近ではイネ科の花粉に対するアレルギーの方も増えてきており、夏場でも症状が出る方も増えています。透明でサラサラとした水のような鼻水、連続するくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなどが主な特徴です。
副鼻腔炎(ふくびくうえん・いわゆる蓄膿症)
鼻の奥にある骨で囲まれた空洞「副鼻腔」の粘膜に炎症が起こる病気です。「副鼻腔」は1歳ごろからから発達をはじめ17歳ごろに完成します。細菌感染・ウイルス感染をきっかけに鼻の粘膜が腫れ、副鼻腔と鼻腔をつなぐ穴が塞がることで、粘り気のある鼻水が「副鼻腔」に溜まることが原因です。黄緑色のネバネバした鼻水や、後鼻漏(こうびろう:鼻水が喉に垂れること)による痰がからんだ咳が特徴です。
2.アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎、見分けのポイントは?
両者は併発することも多いため厳密な診断には医師の診察が必要ですが、ご家庭での様子を観察し、診断の目安にしてみてください。
【症状・状態の比較ポイント】
| 症状・状態 | アレルギー性鼻炎 | 副鼻腔炎 |
|---|---|---|
| 鼻水の状態 | 水っぽく透明 | 黄緑色でドロッとしている |
| くしゃみ・目のかゆみ | 連発しやすい/伴いやすい | あまり伴わない |
| 咳(寝起き・夜間) | 目立ちにくい | 後鼻漏により出やすい |
| 口呼吸・いびき | 鼻づまりが強いと起こりうる | 鼻づまりが強いと起こりうる |
| 症状が続く期間 | 花粉や環境要因が続く間 | 風邪から10日以上長引く場合に考慮 |
※上記は一般的な傾向であり、自己判断せず気になる症状がある場合は医療機関へのご相談をおすすめします。
3. 当院での治療薬の選び方と治療の考え方
お子さまの年齢や体質、症状の強さに合わせて、無理のない治療方針をご提案するよう努めています。
アレルギー性鼻炎に対するお薬
症状を和らげる抗ヒスタミン薬の内服や、粘膜の腫れを抑えるステロイド点鼻薬などが選択肢となります。眠気の出にくいタイプや、お子さまが飲みやすいシロップ・ドライシロップなど、成長に合わせた処方を考慮しています。ハウスダストによる慢性鼻炎、スギ花粉による花粉症で症状の強い方には舌下免疫療法による根本治療もおすすめしています。
副鼻腔炎に対するお薬
粘膜の腫れを引かせて鼻水の排出を促す粘液溶解薬(カルボシステインなど)や、細菌感染が疑われる・症状が強い場合には抗生剤の投与を検討します。ウイルス感染が原因の場合には抗生剤は効果なく、副鼻腔炎≠抗生剤ではありません。抗生剤を使う場合には短期間でやめてしまうと再発してしまうため、決まった期間飲み続けることが大切です。
小児科・アレルギー科ならではの総合的なアプローチ
当院では、鼻の症状だけでなく、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎など他のアレルギー疾患の既往も含めた総合的なアセスメントを行っています。抗生剤を飲み続けていても治らない副鼻腔炎の場合には、アレルギー性鼻炎が合併していることも少なくありません。必要に応じてアレルギー原因物質を特定するための血液検査等についてもご相談いただけます。
4. ご家庭でできる日常ケアと予防のポイント
お薬の服用とあわせて、日頃のケアを工夫することで症状の軽減が期待できます。
こまめな鼻水吸引と正しい鼻かみ
自分で鼻がかめない小さなお子さまには、家庭用の鼻水吸引器で鼻の入り口付近をやさしく吸ってあげることが有効とされています。鼻をかめるお子さまの場合は、片方ずつやさしくかむよう声をかけてあげてください。強くかんでしまうと鼻水が耳に移動して「中耳炎」になってしまう事もあります。
室内の環境整備(ダニ・ハウスダスト対策)
こまめな掃除機がけや布団の天日干し・乾燥機の使用、空気清浄機の活用することで環境内のハウスダストを減らす事が大切です。室内の湿度を50〜60%程度に保つと、粘膜の乾燥を防ぎ鼻水の排出を助ける環境づくりにもつながります。
花粉シーズン中の工夫
帰宅時には衣服をよく払ってから室内に入り、顔を洗ったり鼻の周りを清潔なタオルで拭いたりすることで、室内への花粉の持ち込みを減らすことができます。マスクをして花粉の侵入を防いだり、鼻うがいをして花粉を洗い流してしまう事も有効です。
5. こんな時はお早めにご相談ください
以下のような様子が見られる場合は、早めの受診をおすすめしています。
【受診を検討したいチェックリスト】
-
黄色や緑色のドロッとした鼻水が1週間以上続いている
-
夜間の鼻づまりや咳でぐっすり眠れていない
-
発熱を伴っている、または一度下がった熱が再び上がった
-
耳を痛がったり、頭を痛がっている
よくあるご質問(Q&A)
Q. アレルギー検査は何歳から受けられますか?
A. 一般的に年齢制限はありませんが、採血への抵抗感や必要性を考慮して時期を検討しています。当院では根本治療(舌下免疫療法)の開始可能な6歳からの採血をおすすめしています。
Q. 副鼻腔炎は繰り返しやすいですか?
A. 子どもは鼻と副鼻腔の構造が未発達なため、風邪のたびに炎症を起こしやすいと言われています。成長とともに粘膜や骨の構造がしっかりすると、起こりにくくなる考えられています。
Q. 子どものアレルギー性鼻炎は何歳頃から発症しますか?
A. 発症年齢には個人差があり、一般的には5~6歳の発症が多いとされていますが、低年齢化が進んでおり2歳のお子さんでも発症しています。「毎年同じ時期にくしゃみや鼻水が続く」といった様子があれば、一度ご相談いただくことをおすすめします。
Q. 鼻水吸引はいつまで続ける必要がありますか?
A. 年齢や自分で鼻をかめるようになる時期には個人差があります。目安となる時期についても診察時にご相談いただけます。
まとめ|長引く鼻症状、お気軽にご相談ください
子どもの鼻トラブルは、言葉で伝えられないからこそ保護者の方のサポートが重要です。「たかが鼻水」と思わず、「いつもと違うな」「寝づらそうだな」と感じた時はぜひご相談ください。家の吸引機では吸いづらいからクリニックの吸入器でといった鼻吸いメインの受診も大歓迎です。
記事の執筆・監修
下北沢小児科・アレルギークリニック院長
長尾 竜兵
日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
当院では小児科、アレルギー科だけではなく小児耳鼻科、小児皮膚科の診断・治療にも対応しています。
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