当クリニックにも「頭の形が少し左右で違う気がする」「いつも同じ方向を向いて寝ている」「後頭部が平らだけどもこのまま様子を見てよいのか」といったご相談を受けることが多くあります。向き癖による頭蓋変形は、新生児から乳児期前半にかけてよく見られる現象です。今回は向き癖の原因、予防方法について、小児科医の視点から詳しく解説します。
頭蓋変形症とは?
向き癖による頭蓋変形症は、赤ちゃんが向き癖により頭を特定の方向へ向き続けることにより、頭の形が歪んでしまう状態です。特に、生後2~4か月の間に多く見られます。
赤ちゃんの頭蓋骨はまだ形が定まっておらず、寝る姿勢や向き癖の影響を受けやすいことが原因です。
よく見られる症状
- 頭の一部が平らになる(特に後頭部や側頭部)。
- 耳の位置が左右で異なる。
- 顔の非対称性が気になる。
頭蓋変形症の原因
- 長時間同じ姿勢で寝る
赤ちゃんは仰向けに寝ること多く、これにより特定の方向へ圧力がかかることがあります。 - 向き癖の発生
生後間もない赤ちゃんは、子宮の中で向いていた方向を好み、首の筋肉が未発達なためあまり頭を動かすことがありません。 - 出生時の影響
出産時の圧力や、狭い子宮内での体勢が原因で、頭の形に偏りが生じる事があります。
頭蓋変形症を予防・改善するためのケア方法
- 姿勢を工夫する
- ポジショニング: 赤ちゃんの寝る向きを定期的に変えましょう。寝るときに顔を右に向けたら、次は左に向けるようにします。
- 授乳時の工夫: 抱き方を変え、向き癖と反対側を向くように意識しましょう。
- 頭の形に優しい寝具を使用する
- ドーナツ枕や向き癖防止用クッションを使用する方法も有効です。
その他にも、音がするおもちゃを向き癖とは反対方向に置いて赤ちゃんの気落ちを向けてあげるなどの方法があります。
これらの方法は首がしっかり座る4カ月より前(2-3カ月)には開始できれば良いとされています。
専門的な治療が必要な場合
家庭でのケアで改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は、小児科を受診しましょう。生後3か月後半から遅くとも生後6か月初めでの受診をお勧めします。ヘルメットによる頭蓋矯正療法を行う場合は、早めの開始が効果的と言われているためです。
- 頭の歪みが強く、顔の非対称が目立つ
- 首を動かす範囲が狭い、または硬さがある
治療の選択肢
ヘルメット療法: 頭蓋骨の成長を促しながら形を整える専用ヘルメットを使用する治療法です。自費診療となります。
ヘルメット療法を行えるクリニックが増えてきていますが、専門性が高い病院をおすすめしています。
お悩みの際にはご相談ください。
向き癖は早めのケアが大切
赤ちゃんの頭の形の歪みは、早期の対応で一定程度の改善が見込めます。当院では、向き癖や頭の形に関するご相談を随時受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。