こんにちは、下北沢小児科・アレルギークリニックです
夏の三大感染症である「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」
2025年6月ごろから、プール熱の原因となるアデノウイルス感染が少しづつ見られるようになりました
まだ、大流行というレベルではありませんが、夏本番にむけて増加するかもしれません
今回は「プール熱(咽頭結膜熱)」についてお話させていただきたいと思います
プール熱(咽頭結膜熱)とは?
原因
-
アデノウイルスによる感染症(アデノウイルスはノド、目、胃腸など様々な場所で悪さします)
-
咽頭結膜熱はそのひとつで、プールを介して広がったことから「プール熱」とつけられました(ただし、プール以外でも感染は広がります)
感染経路
-
飛沫感染(咳やくしゃみなど)
-
接触感染(水・タオル・玩具・プールの水など)夏に限らず、保育園・学校などで集団感染を起こすケースもみられます
潜伏期と症状
-
感染から症状が出るまでの期間(潜伏期間)は5〜7日程度です。「知らないうち感染していて、園・学校で大流行」なんてこともしばしばです
-
主な症状:
-
突発的な高熱(38〜40℃が5日程度続くことが多い)
-
咽頭痛、扁桃腺の腫れ(お子さんはつばを飲み込むと痛い、食事を嫌がるなどの症状がみられます)
-
白目(結膜)の充血、目やに、眼痛、羞明(光を見ると目が痛い)
-
頭痛・倦怠感・食欲低下
-
一般的に多いのは「突然の高熱、目が赤い、飲んだり食べたりするとのどが痛い」とゆう症状ですが
のどの痛みを伝えられない赤ちゃんでは熱と目の赤み、不機嫌から診断がつくこともあります
診察のポイント
1. 診断のヒント
「高熱 + のど痛 + 結膜炎(白目の充血・目やに)」がそろえばプール熱を疑います
ただし、目の症状がない「アデノ咽頭炎」も流行するので
診断の決め手は「特徴的なのどの症状」になります
2. 検査
咽頭ぬぐい液や目やににアデノウイルスがいないか(抗原検査)診断可能です
当院では迅速検査キットを常備していますので、5~10分ほどで結果がでます
3. 治療
① 対症療法が基本
アデノウイルスに抗生剤は効果ありません
発熱、喉の痛みど、それぞれの症状に対して対症的に治療を行います
② 解熱剤の使用
高熱が続く場合には、アセトアミノフェンなどの解熱剤を使用して体の負担を軽減します
熱が下がってもウイルスは体内に残っているため、元気になるまでの経過観察が必要です
③ 水分補給
発熱や下痢による脱水を防ぐため、経口補水液(OS-1など)や水分をこまめに与えることが重要です
特に乳幼児は脱水の進行が早いので注意しましょう。
④ 点眼薬・目のケア
目の症状がある場合には、炎症を抑える点眼薬を使用します
処方された場合は、使い方と回数を守りましょう
清潔なガーゼで目やにを優しく拭くのも効果的です
⑤ 入院が必要なケース
のどの痛みがひどく水分が取れず点滴がひつようになるケースはありますが
重症例はごく一部ですのでご安心ください
登園登校の目安
- 学校保健法では「主要症状がなくなってから2日間経過後」に登園・登校がOKと規定されています 。
家庭でできるケア&予防法
① 手洗い・うがいの徹底
アデノウイルスは接触感染が多いため、手洗いが非常に重要です。特にトイレの後、外出から帰った後、食事前などは必ず石けんでしっかり洗いましょう。
② タオルや食器の共有を避ける
家族内で感染が広がらないよう、タオル、食器、寝具などは共有せず、こまめに洗濯・消毒を行いましょう。
③ 目の症状があるときは目をこすらない
目やにや充血があるときは、目をこすらないように伝え、洗浄や点眼後は手指の洗浄を徹底しましょう。
④ 脱水対策を忘れずに
熱や下痢、嘔吐により脱水を起こしやすいため、こまめに水分を摂取しましょう。経口補水液などを使うのも効果的です。
これってプール熱かも?と思ったら
目が真っ赤になったり、熱が長引いている時は、アデノウイルスに感染して、プール熱を発症しているかもしれません
まわりにうつす可能性が高い感染症なので、受診をしていただき、検査を受けていただくことがおすすめです
症状が軽く、プール熱かどうかよくわからない、といった場合も検査が必要かどうかのご相談もできます。
悩まれた時には、お気軽にご相談ください。
クリニックからの最新情報をお知りになりたい方は公式LINE登録をお願いします。