百日咳は、特有の激しい咳を特徴とする感染症です。特に乳幼児にとっては重篤な合併症を引き起こす可能性があり、注意が必要です。一方で、近年、10代や成人の百日咳が増加しており、乳幼児に感染させてしまうリスクが心配されています。
このブログでは、百日咳の基本情報や10代での増加傾向、その原因と対策について、わかりやすく解説しています。ご家族みなさまが安心して健康を守れるように、ぜひ参考にしてください。
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百日咳とは?
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10代での百日咳増加の現状
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百日咳の主な症状と経過
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診断と治療方法
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予防接種とその重要性
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日常生活での注意点
1. 百日咳とは?
百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)による急性気道感染症で、特徴的な咳発作がみられます。患者の咳やくしゃみによって広がります。乳幼児が重症化しやすいですが、近年では10代や成人の間でも発症が増加しています。
2. 10代での百日咳増加の現状
東京都感染症情報センターの調査では、近年、乳幼児期の予防接種(4種混合、5種混合ワクチン)の効果が減弱した10代や成人の発病が問題になっています。
東京都感染症情報センター「百日咳」
3. 百日咳の主な症状と経過
百日咳の症状は以下の3つの段階に分けられます:
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カタル期(約2週間):風邪のような症状から始まり、次第に咳が強くなります。
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痙咳期(約2~3週間):短い咳が連続的に起き、咳の最後に大きく息を「ヒューッ」と吸い込む音が聞こえます。
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回復期(2~3週間):激しい咳は次第におさまりますが、軽い刺激などで発作的な咳が長く続きます。
4. 診断と治療方法
診断は、咽頭ぬぐい液を採取して病原体を分離・同定することで行われます。治療には、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)をカタル期に使用することで効果的な治療が期待されます。一般的に使用される抗菌(ペニシリン系、セフェム系)は効果がありません。
5. 予防接種とその重要性
日本では、四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)や五種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ・ヒブ)が定期接種として行われています。しかし、これらのワクチンの免疫効果は実際にこれらに感染症に罹患しないと5~10年程度で減弱するとされています。
現在、11歳になると二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)の接種が行われていますが、2018年8月、小児科学会から小学校入学前に「三種混合ワクチン(DPT)」の追加接種が推奨されるようになりました。また、11歳になると接種する二種混合ワクチン(DT)のかわりに三種混合ワクチン(DPT)を接種することも勧められています(ただし、両方の時期共に任意接種(自費)となります)。
6. 日常生活での注意点
日常生活での予防として、以下の点が重要です:
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手洗いの徹底:外出後や食事前後に石鹸で手を洗うことで、感染リスクを減少させます。
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咳エチケットの実践:咳やくしゃみをする際は、ティッシュや肘で口と鼻を覆い、飛沫の拡散を防ぎます。
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体調不良時の外出自粛:症状がある場合は、他者への感染を防ぐため、外出を控えることが望ましいです。
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いつもの風邪と咳の感じが違うと感じたら、早めに小児科専門医を受診してください。