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「胃腸炎」とは?
胃腸炎とは、ウイルスや細菌などによって
吐き気・嘔吐・下痢・おなかの痛み などが起こる病気です。
「胃腸炎」と伝えると心配が大きくなってしまうこともあるので、
「おなかの風邪ですね」とお話しすることもあります。
胃腸炎の原因:「ウイルス性」と「細菌性」
ウイルス性胃腸炎(ノロ・ロタなど)
→ 吐いたものやうんちを触ってうつることが多いです。
園や学校で流行するのはほとんどがウイルス性です。
ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいので、
石けんと流水での手洗いが大事です。
お薬(整腸剤や吐き気止め)で少しずつ回復しますが、
長引くと脱水になって点滴や入院が必要になることもあるので、こまめな水分補給が大切になります。
細菌性胃腸炎(サルモネラ・カンピロバクターなど)
→ きちんと火を通していない食べ物などでうつることが多いです。
血便が出たり、高熱、激しい腹痛がみられることもあります。
ウイルス性よりも症状が重くなることがあります。
胃腸炎の診断方法
ウイルス性かな?細菌性かな? というのは
周囲での流行や食事の内容、症状などをお聞きして
おなかを触った時の痛がり方などから総合的に判断します。
当院ではロタウイルス、ノロウイルスの検査キットがりますので、
必要な場合には便の検査を行っています。
細菌性が疑われるときは、便培養(便に菌がいるかの検査)を行います。
便培養は外部の検査センターにお願いするため、結果が出るまでに時間がかかります。
治療しているのに症状が回復しない場合などに行っています。
胃腸炎の治療法
胃腸炎の基本的な治療は、①吐くのを止めてあげて、②こまめな水分補給 になります。
①吐き気止め
お子さんが吐いてしまったとき、あわてて水分をたくさん飲ませたり、元気を出そうとして食事をあげたくなるかもしれません。
しかし、吐いた直後の胃腸は動きがにぶくなっていて、モノが入ってもすぐに吐き出してしまいます。
吐いてしっまったら、30-60分は何もあげず吐き気が止まるのを見守ってあげてください。
吐き気がおさまってきたら水分を少しづつあげてください。
吐き気止めがあったら使ってもらっても良いと思います。
②こまめな水分補給
胃腸炎の時の水分補給は、一度にたくさん飲ませず、「少しずつ・こまめに」が大切です。
目安は【1時間で50~100ml】くらいを、スプーンなどで少量ずつあげてみてください。一口飲ませて、5分ほど様子を見て、また一口。
少量あげて様子を見て、吐かなければ少しづつ水分量を増やしてもらっても大丈夫です。
お茶やお水だけをあげていると塩分不足になってしまいます。
OS-1などの経口補水液(ORS)などが手に入るようであればあげてください。
おなかが落ち着いていたら、具なしのお味噌汁やスープもおすすめです。
胃腸炎の嘔吐は多くの場合、1日~1日半くらいで落ち着きます。
おなかがすいて食べたくなるかもしれませんが、吐いているときには食事は無理せず、
こまめな水分補給をしてください。
下痢があるときはどうすれば?
下痢がある時には整腸剤(ビオフェルミン散、ミヤBMなど)を使って腸内環境を整えていきます。
下痢止めについては、赤ちゃんや小さい子には、下痢止めはあまり効果がなく、
強い下痢止めを使ってしまうと、胃腸炎が長引いてしまうことがあるため、小児科では処方しないことが多いです。
乳児期の下痢は長引きやすいものです。
1週間以上、下痢が続いているときは、乳糖不耐症になっているかもしれません、
乳糖抜きのミルクを使うと下痢が良くなる時もあります。
登園・登校はいつから?
胃腸炎にはインフルエンザのような「〇日間お休み」というルールはありません。
嘔吐・下痢が止まり、ごはんが普通に食べられるようになったら大丈夫とお話ししています。
園や学校によっては独自のルールがある時もありますので確認してみてください。
ノロウイルスなどの「ウイルス性胃腸炎」になってしまったら
胃腸炎の中でも特にやっかいなのがノロウイルスです。
ノロウイルスは「感染力がとても強い」ことで有名で、
ほんの少しのウイルスでも口に入ってしまうと、
すぐに症状が出てしまいます。
ご家族内でノロウイルスが流行してしまうことも冬場の流行期ではよくみられます。
お子様のケアをするときは、必ずマスクを装着し、飛沫感染や、不意な接触感染をできるだけ防ぎましょう。
石けんと流水でしっかり手洗い
→ アルコール消毒だけではノロウイルスは消えません
ノロウイルスには 石けんと水での「手洗い」が効果的です。